陶器と磁器の一番大きな違いは『原料の違い』です。陶器は「土もの」と呼ばれ、陶土と呼ばれる粘土が主な原料、磁器は「石もの」と呼ばれ、陶石(磁石)を粉砕した石粉が主な原料です。分かり易く言うと『土』が原料であれば陶器、『石』が原料であれば磁器となります。
粘土が主な原料である陶器は、手触りは柔らかく土の風合いが魅力です。手で叩くと鈍く低い音がし、不透光性です。陶器には吸水性があるため、使い込む程に味わいが出てきます。また、熱伝導率も低いため“熱しにくく冷めにくい”のが特徴です。陶器の代表的な焼き物は、唐津焼・萩焼・備前焼・信楽焼・美濃焼などが有名です。
陶石(磁石)を粉砕した石粉が主な原料である磁器は、手触りは滑らかで純白な肌が魅力です。手で叩くと金属のような澄んだ高い音がし、透光性があります。一般的に陶器よりも高温で焼成するため、生地は固く丈夫です。また、熱伝導率が高いため“熱しやすく冷めやすい”のが特徴です。磁器の代表的な焼き物は、有田焼(伊万里焼)・波佐見焼・砥部焼・九谷焼などが有名です。
最後に、暮らしの道具として身近な存在である陶器と磁器、それぞれの特徴を活かした使い方をご紹介します。
陶器は土の風合いに温かみがあるため、和の雰囲気を演出してくれます。機能性としては、 “熱しにくく冷めにくい”特徴から、熱いお茶が入った湯呑も持ちやすく、温かい料理の保温にも最適です。土鍋などは直火にも耐えることができます。また、様々な土地で摂れた陶土でつくられる陶器には産地ごとに個性があるため、その違いを楽しむことができます。
磁器は割れにくく丈夫であり、薄手で軽量な点が特徴です。また吸水性が殆どありませんので、オリーブオイルやドレッシングなどの油や醬油・ソースなど色の濃いものを使っても汚れが付きにくく、また匂い移りも殆ど気になりません。扱いやお手入れに、あまり気を使わず気軽に使うことができます。
このように、日本には魅力的な陶磁器が多数存在します。産地ごとの土の違いや継承されてきた匠の技、歴史的背景などにも目を向けると陶器・磁器という違い以外にも発見があり、より一層、焼き物を楽しめます。