作家が手仕事で創り出す和食器は、同じ器でも微妙に形や大きさ、歪み、釉薬の焼き色などが異なり、世界に一つしかない作品であることが魅力です。また、和食器は洋食器と比べ多種多様であり、日本の食文化、四季を感じさせる日本料理を引き立たせる名脇役とも言えます。
和食器の大きな特徴は、飯茶碗・汁椀など多くの器を手に持って使います。その為、口当たりや手触りなどの風合いを重視した作品が多く制作されています。それに対し洋食器は、器をテーブルに置いてフォークやナイフ・スプーンで頂く為、器は傷が付きにくい磁器が主流となり、シンプルな白色の皿をセットで揃えるのが一般的です。和食器は用途や料理に合わせ様々な器がありますが、“一汁三菜”にならい、飯碗・汁椀・中皿・小鉢・小皿が基本の器となります(飯碗:主食のお米、汁椀:お味噌汁などの汁物、中皿:魚・肉・大豆製品・卵などの主菜、小鉢:野菜・キノコ・海藻類などの副菜、小皿:漬け物やあえ物などの副々菜)。
日本には古来より、「食事を目で楽しむ」「季節に合わせ器を楽しむ」「器を手に持ち箸で頂く」という日本独自の食文化があり、和食器も素材・形・色・柄など様々なバリエーションが存在し、食文化の移り変わりと共に発展してきました。お皿一つとっても丸皿・楕円皿・長角皿・四方皿(正方形の皿)・隅切り皿(四隅がカットされた皿)・六角皿・八角皿・木瓜皿(もっこうさら:木瓜(ボケ)の花の形をした皿)・輪花皿(りんかさら:花びらを表した皿)・リム皿(縁のある皿)などがあります。私たちが日々使っている和食器、身近で使い慣れた器ですが、その形や色・柄の歴史や意味を知ることで、何気なく使っていた器が魅力的に感じ、日々の暮らしに彩を与えてくれます。
多くの方が抱く疑問、「種類が多すぎてよく分からない」「選び方・揃え方が分からない」「扱い方が分からない」「お手入れ方法が分からない」などの“和食器の基本”も「読み物」のページでお伝えして参ります。